
月現在、国会で継続審議となっており、今後法制化が進められるものと思われる。 法案の大きな柱としては、市民公益活動を行う団体に対して法人格を付与すること、その団体に対して税制面での優遇措置を講じることがある。これは、市民活動団体が現行では法人格を取得することがきわめて難しく、既にみたように活動を継続していく上で多くの困難に直面しなくてはならない現状に対処しようというものである。 しかし、NPO法制定については多くの問題が残っており、市民活動団体の中にはこの法律の制定について疑問をもつ声も多い。それは、この法律の制定によって活動が行政の規制を受けるのではないか、むしろ任意団体の方が自由で自立した活動を展開できるのではないのかという疑問があるからである。 一部政党には、政府の政策に反対するような団体に法人格の取得を認めるような法律を制定すべきでないという意見もあり、市民活動を「信用のおけないもの」とみる行政の姿勢も依然として根強く残っている。こうした市民と行政の相互不信は、市民活動と直接触れる地方自治体の現場では深刻な問題である。NPO法が制定されれば、法人格付与の事務は(機関委任事務にせよ法定受託事務(仮)にせよ)おそらく都道府県が担うことになるであろうが、その際にはどのような団体を公益法人として認可するのかという困難な課題に地方自治体は取り組まねばならなくなるのである。したがって、NPO法制定を射程に入れた市民活動団体支援に対する考え方を、地方自治体は早急に検討する必要に迫られているのである。本章で例示したいくつかの自治体の取り組みは、多くの自治体のうちのごくわずかにすぎず、今後、少なくとも都道府県レベルで市民活動支援のフレームが検討されることとなろう。 また、市民活動サイドでも、「管理されるのはイヤだからNPO法は反対」という姿勢に終始するのではなく、政策立案・提起も含めた参加型の体制を準備していく必要があろう。基本的な視点は、あくまでも市民と行政の対等なパートナーシップなのである。 (2) 市民活動の自立と行政の責任 以上のように、行政が独占してきた公共サービスの担い手を市民セクターの中に見いだし、市民活動と地方自治体がどのような関係を構築し、行政が市民活動をどのように支援していくべきかについて考えてきた、NPO法制定という事態ともなれば、ますます市民活動にたいする関心は高まり、自治体もこれまでとは比べものにならないくらい市民活動についての関心をはらわざるをえなくなるであろう。
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